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インタビュー
シン・クエストカフェ Vol.05
Special Dialogue
インタビュー/和田達哉(クエストカフェ)
百武さんと一照さんのお話は、お二人の活動の中心的テーマである禅とゲシュタルト療法をテーマに、僕(和田達哉)としては、禅とゲシュタルトがとても似ているところがあるなと思っていたので、まず、ゲシュタルトや禅についてお話しいただきながら、それぞれが大事にしているところをお話しいただく中で、共通点ややはりここ大事だよねというポイントが見えてきました。
第二部は、百武さんのゲシュタルト療法やフェスデンクライスとの出会いや身体性が大事であることのお話。百武さんがお父さんのお話をされたとき、思わず感情が上がってきて、涙が出そうになる一幕も。一照さんも禅との出会いからこれまでの人生について簡単にお話いただきながら、身体的な感覚についての大切さや身体と心、意識の関係など、禅というカテゴリーを超えて、一照さんが感じ実践してきたことなどが語られています。
最後の第三部は、今話題のAIについてお話しいただきました。お二人ともAIについてあまり詳しくないと言うことで、AIがどんどん僕たちの人生に入ってきていることについていくつかの例をお話しいただく中で、一照さんの表情の変化に気づいた百武さん。そこから人間の進化と脳のお話や仏陀のお話など、興味深いお話が続きます。
今回のクエストカフェ・インタビューは、特別企画ということで、ゲシュタルト療法の日本の第一人者の百武正嗣さんと異色の経歴を持ち、活動する禅僧・藤田一照さんの対談です。
葉山は、藤田一照さんが管理している葉山の某別荘に伺い、収録させていただきました。
シン・クエストカフェのVol.02で、百武さんをインタビューさせていただいたので、すでにインタビュー動画をご覧になられているかも知れません。
シン・クエストカフェVol.02/百武正嗣さんインタビューはこちら
百武さんは、ゲシュタルト療法を日本に広めた第一人者といえる方ですが、そもそもゲシュタルト療法とはなんぞや?と言う方には、ぜひ、百武さんのインタビューページをご覧ください。
ゲシュタルト療法はこんなことをするのだなぁということは分かると思います。
実は、僕もゲシュタルト療法を学び、自身の人生や生き方にも、意識的に取り入れているのですが、ゲシュタルト療法というと、何だか、医療的な療法のように聞こえますし、何か体調や精神面なりで、調子が悪いものを治していくようなイメージがありますが、ゲシュタルト療法はそういう側面もありますが、実質は、自らの存在の変容と自己成長を促していくための方法です。
なので、僕は、普段は、療法を取って「ゲシュタルト」とシンプルに言ってます。ただ、単純にゲシュタルトというと、ゲシュタルト心理学もあるし、ゲシュタルト=ドイツ語で全体性を意味するものでもあるので、それ自体も関係していますが、その絡みも理解しつつ「ゲシュタルト」と言っています。
そして、異色の禅僧の藤田一照さんですが、禅の世界に近い人やマインドフルネス、ソマティック、幸せな生き方などに関心がある人には、特によく知られた方です。
本もたくさん出されているし、メディア関連にも時々顔を出されているので、ご存じの方も多いかと思います。
「異色の」と紹介させていただいたのは、禅のお坊さんでありながら、その活動は、執筆、講演、ワークショップなど、幅広く様々な活動をされていて、いつお坊さんをされているのだろうと思わせるところや、また、灘校から東大へ進学し、博士課程に在学中に坐禅に傾倒し、大学院を中退して禅道場に入山し、禅僧になります。在学中は合気道の稽古や野口体操のレッスンをやったりと様々な本を読みあさりながら自由を謳歌されたそうです。そして、曹洞宗の禅僧として渡米し、アメリカの禅道場であしかけ18年間、坐禅の指導と勉強をされたりとひと言では語れない「異色」のお坊さんです。
今回、なぜ、このお二人のインタビューを収録させていただくことになったかと言うと、僕が、ゲシュタルトで百武さんと出会って共感し、ゲシュタルト療法そのものから禅と共通するものを感じ、百武さんも三浦海岸にお住まいなので、ふと、比較的身近な存在で、過去にインタビューさせていただいた一照さんのイメージが湧き、同じ三浦半島で、このお二人の対談をぜひ、僕自身が聞いてみたいと思ったところから、お二人に声を掛けさせていただいて実現しました。
この対談の中でもお話しされていますが、ゲシュタルト療法の開発者のひとり、フリッツ・パールズは、2回来日して禅道場で3ヶ月間修行しました。その体験は、ゲシュタルト療法にも影響しているのですが、その中で、ゲシュタルトの気づきとは「ミニサトリ」だと語っています。
お二人は、以前、ソマティックのワークショップで出会ってはいたようですが、直接お話はされたことはなかったようです。
※ソマティック→生きている身体、身体性の意味。相手に触れたり、身体を動かしたり、身体の感覚に注目していくもの
お話は、そんな二人の出会いから始まり、禅についてのお話から、禅とゲシュタルトの共通点やお二人ともアメリカでの生活体験からの西洋的な視点と東洋、日本的な視点、考え方、心と身体、ソマティックのお話、そして、ゲシュタルト療法についてお話が展開していく中で、お二人のお話が化学反応を起こして、深い洞察が生まれています。
お二人のお話が盛り上がって、現場で収録しながら聞いていた僕も、ずっとワクワク、お話に引き込まれながら、興味深く聞いていました。
この対談を聞かれる方も、きっと、お話の展開を楽しく聴きながら、様々な気づきを得られる事ともいます。
それぞれに、その世界を深められた百武さん、一照さんのユニークな出会いとお話をぜひ、お楽しみください。
百武 正嗣さん プロフィール
Masatsugu Momotake
NPO法人ゲシュタルトネットワークジャパン(GNJ)理事長
日本フェルデンクライス協会理事
1945年、新潟生まれ。中央大学理工学部卒。1979年、カリフォルニア州立大学大学院心理学部卒。
帰国後、(財)神奈川県予防医学協会で健康教育にヨーガ、心理学を取り入れる。
日本ゲシュタルト療法学会の創設に尽力。設立より2期6年にわたり理事長を務め、現在は同学会ファシリテーター審査委員長。
NPO法人ゲシュタルトネットワークジャパン(GNJ)理事長。日本フェルデンクライス協会理事。ゲシュタルト、フェルデンクライス・メソッド、ヨーガ、心理学を取り入れた「気づきのセミナー」を全国各地で開催。またリラクゼーションの指導にもあたっている。フェルデンクライス国際ライセンス取得。
日本で指導を続けて20年以上、全国各地で通算9000人以上にワークを提供。
ギリシャ、サンフランシスコ、シドニーからも招待を受け、ワークショップを実施している。
百武正嗣公式サイト https://gestalt-momotake.com/
藤田 一照さん プロフィール
Issho Fujita
曹洞宗僧侶
1954年、愛媛県生まれ
灘高校から東京大学教育学部教育心理学科を経て、大学院で発達心理学を専攻。
院生時代に坐禅に出会い深く傾倒。28歳で博士課程を中退し禅道場に入山、29歳で得度。
33歳で渡米。以来17年半にわたってマサチューセッツ州ヴァレー禅堂で坐禅を指導する。
2005年に帰国し現在も、坐禅の研究・指導にあたっている。2010年より2018年までサンフランシスコの曹洞宗国際センター所長。Starbucks、Facebook、Salesforceなど、アメリカの大手企業でも坐禅を指導する。
著作に『現代坐禅講義 – 只管打坐への道』、『ブッダが教える愉快な生き方』、共著に『アップデートする仏教』、『安泰寺禅僧対談 』、『禅の教室』、訳書に『禅への鍵』、『禅マインド ビギナーズ・マインド』『禅的修行入門』など
《記事》
主な内容
◎第一部 禅とゲシュタルトは似ている!?(41’46”)
・お二人の出会い
・パールズの日本での禅体験とミニサトリ
・曹洞宗と臨済宗の違い
・セルフコントロールと坐禅の違い
・アメリカに渡って知った瞑想の違い
・ゲシュタルトの思考を止めることと禅の公案
・心理学と心と身体
・健康な人間ほど身体に問いかけることが大事
・禅はセラピーではない、禅の修行は健康でないとできない
・二極性ではなくグラデーションの中でのベストな気づき
・西欧ではある程度言語化しないといけない
・知ってる人は言わない、知らない人は言う(老子)
・マインドフルネスはプログラムではない
・部分ではなく全体が大事〜玄米=ホールフードアプローチ
・人間を生き物として捉える
・瞑想修行してたら、心と身体は分けられない
・人に触れるということの大切さ
・セラピストとクライアントの上限関係が問題
・フリッツ・パールズとローラ・パールズ、ポール・グッドマンのゲシュタルト療法
・禅は師匠と弟子たちが一緒に暮らす中に禅がある
・禅道場はクルマの修理工場ではない
◎第二部 自分を知ることの大切さ(23’07”)
・百武さんのゲシュタルトとの出会い
・セラピーでは、対話、関係性がテーマ
・セラピーは、どんな人が、どんな声色で、どんなタイミングで言うかが大事
・自分が未完了なものを持っていることを知っていること
・百武さん→最初にしたワークは父親との関係
・ワークは自分の体験から
・生き方→自分の羅針盤ではなく、外からのものを使う
・近視眼的で、長い目で物事を見ない
・現代人は、プラン通りに生きなきゃダメと考える人が多い
・坐禅のカタチになるプロセスを自分で見つけなくちゃいけない
・フェルデンクライスについて
・コピー力ではなく、脳を教育
・赤ちゃんの発達の動きの訓練をする
・動きは、自分の身体と重力の関係で自然に生まれる
・心のフェルデンクライスはできないものか
・身体で言えることは、心のメタファーに使えるのではないか
◎第三部 AIは人間を成長させるのか?(20’14”)
・カウンセリングは、AIの方が上手くなる!?
・ロボットが夫婦をカウンセリングするドキュメンタリー番組
・仏陀の仏典をディープラーニングするAIが開発されている
・AIは仏陀になれるか?スピリチュアルマシーン
・AIが礼賛されている。人間はどうなるのか?
・将棋は、AIから学んで強くなっている
・AIカウンセリング、ゲシュタルトファシリテーターもいいのではないか?
・いくらAIが素晴らしくても、自分の問題は残る
・「AIの話になったとき、悲しい感じになりましたね」
・子どもの頃から、そっとしておいて欲しいという思いがある
・禅は、それを大切にしてくれた
・人間の進化の中で、最後に発達したのが感情。感情が脳を発達させた
・大事なことが起きてるということを教えてくれるのが感情
・人間は進化の過程で、脳が感情をコントロールできないようにした
・そのおかげで脳が発達した
・仏陀は苦行を放棄したところから始まった
・仏陀は堕落したのではなく、新しいやり方に気づいた
・ゲシュタルトは、身体で分かったということが大切。思考は3分の1のレベル
・苦行の先に、苦しみを感じないようにしていたのではないか?
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