和田: |
小田さんのことを知らない方もおられると思うので、まず、小田さんが、どんな活動をしているのか、そのあたりからお願いします。 |
小田: |
はい、そうですね。
職業としては、経営コンサルタントです。 |
和田: |
経営コンサルタントもいろいろタイプというか、アプローチの方がいるけど、小田さんは、どんな方向性からか、少し話してもらえますか? |
小田: |
多分、一般的なイメージのコンサルとは、かなり異なると思いますよ。
もちろん、経営戦略の見直しとか、組織構築とか、売上を上げるようなコンサルもするんですが、それが一番の目的ではなくて、社長さんや働くスタッフたちの働き方とか、生き方とかのステージが上がっていくお手伝いをしています。その方たちの、心の成長、魂のステージが上がるようなお手伝いがウラ側のテーマで、本当はそちらがメインですね。 |
和田: |
なるほど。心の成長、生き方やステージアップだけだと、精神論になりがちで、例えば、売上とかに反映しなかったら単なる経営ではなく、人生相談になっちゃう。 |
小田: |
そうですね。
もともと売上を上げるのも得意としていましたし、組織が活性化するようなアイディアを考えたりするのも大好きなので、精神性と現実性の両方をセットでお手伝いさせていただいています。
|
和田: |
一般的なコンサルタントの方って、例えば、財務系の方が多いと思うんだけど。財務の状態をどう調整していくかという。
自分の仕事はブランドづくり、デザインやプロモーションなので、特に、以前は、広告宣伝などに関わっていて、そうすると、やはり大事なことなんだけど、バランスシートの数字で、今後の方向性を調整されて、経費が何パーセントってカットされる。そういう数字だけを見ているわけではないんだとは思うけど、経営って、感情的な部分や精神的な部分が大きいと思うんだよね。マーケティングもそうだけど、そういった所を丁寧に見ているのかなというのは、今も、気になっていたりしていて、短期的な財務の健全化には、効果的だとは思うんですが、外科的な処置も必要というか・・・ |
小田: |
確かに経営は、感情や精神面が現実を大きく左右しますね。 |
和田: |
中小企業や小さい会社って、数字では何ともし難い部分が大きいんじゃないかと思うのね。 |
小田: |
大きいですねー。
確かに、数字でも判断できる。できるけど、それは一側面にすぎないと思います。数字は一つの事実を表しているんだけど、それは全てではありません。むしろ数字を価値基準にすることで、大切な何かを失ってしまうということもあります。何かを得ているその裏で、目に見えない何かを失っていくんですね。
例えば、私が今のようなスタンスで活動する以前、20代中頃の話ですが、当時、ビジネスに大成功している創業社長たちとお付き合いさせていただいていました。その方々とは創業直後からのご縁で、そこから短期間のうちに急成長して、何十億、もしくは何百億という売上になっていました。だけど、華々しい活躍のウラ側に、悲惨な光景がありました。もう、あまりにも生々し過ぎるので控えますが、会社の規模は大きくなるにつれて、社長やスタッフの心が失われていっているように感じました。 |
和田: |
その人は、創業だから何年間かの短期間のうちに、そこまで行くわけでしょ? |
小田: |
はい、ものすごく短期間のうちに、一気に大きくなりましたね。 |
和田: |
そういう急成長っていう時に、やっぱり歪みがでるよね。 |
小田: |
出ますね。 |
和田: |
思春期に子供が急成長して、骨が痛いみたいなのがあるけど。 |
小田: |
はい・・・笑
そうですね。やっぱり会社って、社長の心の状態が大きく反映されているなって思うんです。会社が急成長すると、社長の心の歪みが出てきます。私はその多くが「中二病(ちゅうにびょう)」が原因だと思っています。 |
和田: |
中二病? |
小田: |
今まで1000名以上の経営者の方々と接して来て、分かったことがあります。特に創業社長に多いのですが、その人の働くスタイルって、中学生時代の経験が大きく影響して、さらに、その経験からの心の欲求パターンが形作られ、それが今の会社に起きている問題の根源的な原因にも大きく影響していることです。
例えば、ひたすら会社の規模拡大を目指したり、自分が有名になることに燃えている経営者は、中学校2年生くらいの時に、満たされなかった欲求を引きずっていたり、その時負った心の傷が、会社の人間関係に現れていることも多いんです。
そもそも大なり小なり誰にでもあることですが、中学校2年生の時って「僕を見て」「俺、すごいだろう!」っていう承認欲求の衝動が強くなります。「中二病」って、その時の衝動に支配されたまま大人になった経営者の方のことです。中二病にかかったままで会社が急成長して来て、満たされなかった欲求が少しずつ満たされ始まると、治るどころかさらに中二病が加速して、会社の至るところに問題が起きる、そんな光景をだいぶ見ましたね。 |
和田: |
それは、インナーチャイルド? |
小田: |
そうともいいますね。インナーチャイルドが癒されないまま大人になるから、中二ときと同じような事をするんです。例えば、周りに「すごい」と思われるような事をするんです。その承認欲求の衝動が、仕事のエネルギーに大量に変換されるので、バリバリ働くことができます。そして「すごい」って思われるようなビジネスをしたり、いいオフィスを借りて、「すごい」って思われるような会社にしたりします。不眠不休でエネルギー全開で働くので、売上は上がり、規模は大きくなります。やっていることは複雑なビジネスなので、高次元の行動に見えるけど、内面の精神状態は中二の男の子と同じっていうところがあって…。 |
和田: |
それは、女性の場合はどうですか? |
小田: |
基本的に女性にも同じようなことはありますね。ただ男性のようにあからさまではありませんが(笑)。
ちなみに女性経営者では、2パターンあって、女を武器にして気を引くパターンか、男に負けないように、男っぽく突き進むパターンか、この女を武器にするか男勝りに行くか。この二つに分かれやすいかなぁと思います。 |
和田: |
なるほど。 |
小田: |
実は、男性でも女性でも、中二病のままだと、お金のエネルギーの影響を受けやすくなります。そもそもお金は、いろんな人の感情とか想いとか、見えないエネルギーを吸収しやすいものです。どういうことかというと、例えば「中二病」のまんま「俺を見てくれ」という思いでお金を稼ぐと、お金と同時にストレスもたまっていきます。するとそのストレスを含んで稼いだお金は、ほぼストレス発散に使ってしまうという法則があることを、多くの経営者を見ていてわかったんですね。 |
和田: |
それは、おもしろいね。 |
小田: |
例えば、月収が50万円の方がいたとして、1日だいたい8時間働いたうちの半分の4時間はストレスを感じながら働いていたら、50万円の収入×8分の4(2分の1)、すなわち25万円分のお金をストレス発散のために使う感じです。 |
和田: |
それは、いろいろ見てる経験から? |
小田: |
いろいろ見てる経験でしたね。あくまでも中二病の方の場合でしたけど、月収が上がれば上がるほど、ストレス発散に使う金額も増えていきました。ちなみに私が見ていた人の中には、月500万円とか、2000万円くらいお金を使う人もいました。 |
和田: |
ほお〜 ・・・ |
小田: |
どういう感覚かというと、ある経営者の方ですけど、あるとき時計が毎日新しい時計になっていたんです。フランクミューラーとか超高級ブランド、しかもプレミアモノばかりです。そんな時計を毎日毎日買うんです。何でそんなに次々に買うんだろうと思って、その方に「時計が大好きなんですか?」って聞いたら「別に好きじゃないよ。逆に聞くけど、小田君はさぁ、もしお金がなくなった時、何か売るものはあるの?」って言うんです。「いや、特にないですね」と答えたら、「それは残念だね。僕はもしお金がなくなった時に、売れるようなモノを買っているんだよ。しかも値段があがるような投資価値のあるものばかりね。もちろん同じように車、マンションも買っていて、こうして話している間にも価値はあがっているんだよ。」 |
和田: |
ん〜 ・・・ |
小田: |
さらに「僕は浪費や消費になるようなお金の使い方は一切しない。投資になるものしか買わないし、投資になることしかしないんだよ」って言うんですよ。それってどうかなって思ったんです。 |
和田: |
うん。 |
小田: |
必要なものを買うんじゃなく、お金がなくなった時に、お金になるようなモノを買う。それってお金がなくなる事を前提に考えるのは、どうなの?って思いました。その方は、将来へのリスクヘッジを本気でやっているのではなく、高額なお金を使っている自分が大好きだし、高級時計を次々に変える自分に価値を感じている、まさに、典型的な中二病の経営者だったと思います。 |
和田: |
お金が無くなることの恐怖があるということだね。 |
小田: |
恐怖がすごくある。中二の男の子って、周りから嫌われるのが怖いし、友達がいなくなることに恐怖感を持ちやすい時期です。だから、みんなから好かれるように周りに合わせるか、「俺は違うんだ、特別なんだ」というような、周りの気を引くような変わった行動をしたりします。それが大人になっても精神状態は同じなら、先ほどの経営者のような言動につながってくると思います。 |
和田: |
その人が中2の男の子と考えた時に、自己顕示が強い子だから、それが満たされていないために、自分の存在をそういう形で表現してしまう。認めてもらいたいという欲求がある。それは、親子関係で認めてもらえてないという思いや周囲から相手にされない、認めてもらえないという思いのためだね。 |
小田: |
そういう事です。だから、そういう社長は何をするかと言うと、大きな仕事をやろうとするんですよ。それだけで一目置かれるから。 |
和田: |
はい。 |
小田: |
それが、本を出すことかも知れないし、なにか新規事業で、大きな契約をすることかも知れない。もしくは、たくさんの女性にモテようとすることかも知れないし、とにかく年収を上げようとすることかもしれない。そういうことで自分の価値を証明しようとしたり、承認欲求を満たそうとする。 |
和田: |
成金タイプ・・・笑 |
小田: |
後は、社員をひたすら怒るとかね。 |
和田: |
なるほど、支配するタイプ。 |
小田: |
それで心を満たすんですよ。中二病で、自分が偉いと思っている人ほど、必要上にすぐ怒ります。 |
和田: |
なるほどね〜 |
小田: |
今は、そういう社長さんとのご縁というのはほとんど無くなりましたけど、以前は多かったですね。まぁ、私もいつくも事業を失敗して多額の負債を抱えて、お金を稼ぐことに必死だったので、「類友の法則」かもしれませんけどね(笑)。その当時の私のコンサルも会社の売上を上げる事が最優先事項でしたし、第一目的にしていましたからね。でも売上が上がるほど、単に中二病にアクセルがかかるだけだったんですよ。承認欲求と自己顕示欲の。そんな時に「僕は何のために応援してんだろう?本当にすべきことは何だろう?」と思ったんです。 |
和田: |
うん。 |
小田: |
でも、世の中には、素晴らしい経営者もたくさんいる訳じゃないですか。だから、そういう方々たちを求めて、出会って、仲良くなって、たくさんお話しを聞かせていただきました。すると、どうやら心にはステージがあるとわかったんですよ。 |
和田: |
なるほど。
例えば小田さんが出会ってきた、中二病の社長ではなく、バランスの取れた社長って、年齢層的には、それなりに年配の方? |
小田: |
確かに年配の方も多かったですけど、若い方にもおられましたよ。30代の社長さんもいまいたし、中には20代前半という素晴らしい方もいました。 |
和田: |
同じように急成長している社長さんの中にも、そういうまっとうな人・・・バランスの取れた方がいると? |
小田: |
もちろんいます。急成長している社長さん全員が中二病というわけではないので。
ちなみに素晴らしい方々の中には、中二病的な時期があり、突然のトラブルに見舞われたり、紆余曲折があって変わっていったと、お話していてくれた方もいらっしゃいました。
いずれにせよ、みなさんの心の成長段階があって、精神性のステージがあります。
20代前半で新規事業をどんどんやって、さらに精神性が極めて高い方の昔の話を詳しく聞いていたら、中学生、高校生の時に心が成長するような出来事があったり、大学生の時にあったりとか、その時々に踏むステップみたいなのがありました。肉体的な年齢はそんなに関係なくて、心の年輪というかね。私自身20代で1万人以上の方々とお会いしてきましたが、人には心のステージがあり、ステージによって価値観も、行動パターンも、幸せも違うということが分かりました。 |
和田: |
小田さんが言う、4段階のステージ。 |
小田: |
そうですね。今回はスピボイなので、普段とはちょっと違った角度から、心の4つのステージをお話しますね。
ヨガの聖者パラマハンサ・ヨガナンダの「人間の永遠の探究」の本の中に書かれているんですが、ヒンズー教のカースト制度とは、本来は魂の精神成熟度、発達段階を表しています。
カースト制度ってバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラと4つの階級の身分制度のことですが、実はこれは、心の成長の段階のことをあらわしていて、段階ごとに価値観と働き方が違うわけです。シュードラは、肉体労働によって社会に奉仕する労働者で、ヴァイシャは、頭や技術を使って社会に奉仕する成功者で、クシャトリヤは、善なる思いで社会に奉仕する人格者で、そしてバラモンは、人々をより上位の奉仕をする側へと導く指導者のとこです。
ひとつひとつ詳しくいうと、一番最初の段階のシュードラとは、自分の心(感情)の奴隷状態であるわけです。だから、めんどくさかったらやらない、眠かったら寝る、そのときの気分に左右されるから、なかなか物事が続かない。だから技術や知恵が身につかないので、時給いくらで与えられた仕事をこなすだけになってしまい、結局、体を使う事によって社会に奉仕していくというステージです。
次の段階はヴァイシャ。ヴァイシャは商人のことです。商人とは自分が得することをやったり、個人の成功を求めます。いわゆる自己実現をゴールにします。実は、中二病が一番多いのがココです。自分の欲望を満たす事に最大の興味関心があります。そして、そのためには勉強もする、努力もする、スキルも身につける。こうして個人的な成功の段階を求めるなかで、高度な技術と知恵によって社会に奉仕してくのがヴァイシャですよね。
実は、次のクシャトリヤとこのヴァイシャとの間の壁が厚くって、世の中に出ている自己啓発の本とか、成功哲学といわれる本は、ほぼヴァイシャ・ステージのもので、クシャトリヤから先のステージのものは、極端に減りますよね。
ちなみに会社の売上を上げたり、規模を大きくしたり、有名になったり、夢を叶えたり、お金持ちになって成功するって、カースト制度で言ったら下から二番目のヴァイシャ・ステージということです。 |
和田: |
なるほどね〜 面白いね。 |
小田: |
今まではクシャトリヤとヴァイシャとの壁が分厚かったから、なかなかクシャトリヤから先のステージへ行きにくかったわけですが、これからの時代はどんどん行けるようになると思うんですよ。
クシャトリヤって、カースト制度では王族や貴族などのことで、今で言う「役人」ですね。役人って字のごとく、人のお役に立つために生きる人たちのことですね。まさに「人の役に立つ=役人」というわけです。これは個人的な損得や好き嫌いを超えて、世のため、人のために生きれる人たちですよね。単なる欲望を満たす自己実現ではなくて、自分の生きがいは何だろう、生きる目的や意味は何だろう、人生とは?どう生きるか?って、人生を問い始め、最高の生き方を目指す段階ですね。
そして、クシャトリヤを超えると最後は、バラモンという精神性に目覚めるわけです。バラモンとは、天や神様のお手伝いをする神聖な職のことです。バラモン・ステージとは、単に宗教的な意味合いではなく、今の仕事を天から与えられた「天職」だととらえている感じです。ゆるぎない使命感や志があって、世のため誰かのために、自らの人生を捧げるような生き様をするので、そんなバラモン・ステージの人に触れる人たちは感化されて、自然とステージがあがっていくわけです。 |
和田: |
なるほどね。 |
小田: |
この4つのステージは経営者だけではなく、全ての人たちがこのステップを踏んでいくのだと思います。でもスムーズにステージアップできなのは、それぞれのステージごとに幸せがあることです。最初のシュードラの段階って、今の場所の居心地が良いわけです。だから新しいことに挑戦しようとすると、葛藤が生まれたり、自己正当化や言い訳したりして、「今のままでも、まぁいいや」ってごまかし、なかなか新しい世界へ踏み出しにくいわけです。だけど、誰かに憧れたり、何かに強く影響を受けたりして、ヴァイシャの自分の成功を求めるわけです。夢に熱くなったり、ワクワクしたりしたりして、仕事を工夫して楽しむことができますが、どうしても自分中心に動いてしまうので、なかなかうまくいかなかったり、人間関係のトラブルが起きたり、失敗したりします。こうして「何でうまくいかないんだろう?」「どうすればいいのかなぁ?」など試行錯誤を繰り返しながら、ようやく成功を手にしていくわけです。そうしてある程度の成功欲を満たしていくと次は「本当は、何をしたらいいんだろう?」「自分の人生って何のためにあるんだろう?」って考えるようになったりするわけですね。こうして人の役に立とうとか、会社のお役に立とうか思ってくるわけです。最後は、天命を果たすべく世の中のために奉仕の人生を歩むか、もしくは、ディープな精神世界に目覚めていくとかですね。
この4つのステージをひとつひとつ順番に登っていく社長さんもいますし、何かがきっかけで一気にジャンプする方もいらっしゃいます。私は今までそんなステージアップしていく光景をたくさん目の当たりにしてきたんです。 |
和田: |
へぇ、一気にジャンプもできるんだね。 |
小田: |
できますね。一般的にはカースト制度は身分制度で、バラモンは一生バラモン、クシャトリアは一生クシャトリア、商人は商人同士で付き合うわけです。でも、4つの心のステージだととらえると、ちょっと求めればバラモンの人と出会うことだって可能です。今はインターネットだってあるから、このスピボイのように精神性の高い人たちの情報だってカンタンに手に入れることもできる。すると短期間で一気にステージアップしていくことも可能です。そもそも日本は魂のステージを上げるのには最高の国ですし、人類の歴史上、これほどステージアップできる環境に恵まれている時代はないと思います。
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